認知症への理解を深める

①「MCI(軽度認知障害)ってなあに?」

デーヤック友の会

ドイツではあまり聞かれませんが、日本ではよく「軽度認知障害」、「MCI (Mild Cognitive Impairment)」という言葉を耳にします。加齢による年相応の物忘れの場合は、物忘れの自覚があります。しかし、自覚がなく、夕食を食べたこと等、できごと自体を忘れるといったケースは、MCIか認知症の可能性があります。認知症の場合は、記憶障害に加え、判断力低下、失語など認知機能障害や行動障害があってはじめて診断されますが、MCIは記憶障害など、何かひとつに不都合がある状態です。同じ年代の人に比べて認知機能の低下がみられても、基本的には日常生活を送ることができます。ただし、慣れ親しんだ場所や使い慣れた機械以外は苦手になります。

「認知症予備軍」ともいわれるMCIですが、MCIから必ずしも認知症を発症するのではなく、回復するケース、あるいは認知症の発症が遅れることもあります。そのためには、早期から認知症の危険因子とされる病気を管理し、運動や食事、生活習慣を見直すなど、科学的に証明されている認知症の予防を行うことが大切です。

国立長寿医療センターによる「MCIハンドブック」で、あなたも今から予防に取り組みんでみませんか。ウェブ版はこちらより。

ドイツ語では Leichte kognitive Störung と呼ばれるMCIですが、認知症発症の予防として、早期診断の必要性はドイツでも認められています。MCIに一番に気づくのは身近な家族と言われています。ドイツ語話者のご家族とも、この機会にぜひ情報を共有してみましょう。

Alzheimer Forschung Initiative e.V. のサイトよりMCIについてhttps://www.alzheimer-forschung.de/demenz/mci/#c14897

デーヤック友の会は10年前に「認知症サポーター養成講座」を、そして、3年前には「チームオレンジ」を導入し、ドイツの日本人社会一般で認知症への理解を深めると同時に、当事者を早期支援につなげる取り組みを行ってきました。それでも、「認知症かも」と思っても周囲に相談できないといった声に代表されるように、まだまだ当事者の方々が暮らしやすい社会では決してありません。認知症=大変な介護、認知症=問題行動といったイメージを持つ人は多く、どうしてもネガティブに考えられがちです。本コーナーでは、認知症の当事者本人の声をできるだけ取り上げながら、認知症への正しい理解を深めていくことを目指します。