鍼灸のすゝめ

脱水症状

原島慈郎(はらしまじろう)

 暗くて寒いドイツの冬もようやく終わりを迎えて、春の訪れを感じますね。この季節は暖かくなってきたかと思えば、急に寒くなったりする日があります。今回はそんな寒暖差が大きい時におきやすい「脱水症状」についてです。暑い日はもちろん、意外と知られていませんが寒い日も脱水症状には気をつけなければいけません。

暑いときの脱水症状

 汗をかいたら水分をとる、これは皆さんも意識してやっていることと思います。ただし、逆効果になる場合もあるので注意が必要です!人間の身体の半分以上は水分によって出来ています。と同時にナトリウム,カリウムなどミネラルが細胞内外の水分バランスを調節してくれているおかげで身体の様々な機能が保たれているのです。水は飲んでいるのに足がつってしまう経験をされた方はいるのではないでしょうか?

 これは体内のミネラル濃度がどんどん薄まっていったことが原因です。つまり積極的な水分摂取が仇となり、脱水症状になっているのです。こうならない為にも、汗をかいたときは水だけではなく適度な塩分や糖分が必要です。一度に全てが摂取できるスポーツドリンクがおすすめです。ただし、市販のスポーツドリンクは糖分が多めなので少し薄めて飲むことをおすすめします。

寒いときの脱水症状

 寒い日は、汗こそかきませんが知らず知らずのうちに呼吸や皮膚・粘膜から水分が失われています。これを医療用語で「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といいます。健康な成人は1日に約600~900mlの水分を不感蒸泄で失うといわれています。

 体が冷えるから、トイレが近いからという理由で飲み物を控えていると、気づかないうちに体内の水分が失われ、だるさや頭痛、発熱など「かくれ脱水症状」のリスクが高まります。分かりやすく汗をかく機会が少なく、喉の渇きを感じにくいため、水分摂取量が少なくなるので注意しましょう。種類はコーヒー、ジュース、アルコールではなく、常温のお水やお茶(カフェイン無し)がおすすめです。

水分量の目安

 個人差はありますが、冬も夏も少なくとも1日1.5ℓの水分を目安にしてみてください。そして一度に飲むのではなく、こまめに分けて飲んでください。

 なんでもやり過ぎは良くないですが、水分に限っては足りないよりは多いほうがいいと断言します!最初は少し辛くても十分な水分を摂りつづけて、循環を良くさせることで体の代謝も上がり、少しずつ飲めるからだになってきます。


原島慈郎(はらしま・じろう)

日本で10年間鍼灸師として大学病院のペインクリニック科や脳神経内病院、 婦人科疾患専門の鍼灸治療院などで勤務。2022年にベルリンに移住。Heilpraktikerの勉強を始め、2025年にドイツ鍼灸師資格取得。施術の傍ら、デーヤックのニュースレターでコラム「鍼灸のすゝめ」執筆や講演活動を行う。

お問い合わせはこちらから:hari.jiro.t@gmail.com

原島慈郎