鍼灸のすゝめ

冬季うつ

原島慈郎(はらしま・じろう)

皆さんは毎年冬に気分が落ち込むことはありませんか?

「冬季うつ」とは、文字通り冬の間に現れる抑うつ的症状のことです。季節性気分障害または季節性感情障害とも呼ばれます。

 具体的な症状は、身体のだるさ、疲れやすさ、気分の落ち込み、気力の低下、過眠・過食(体重増加・甘いものが欲しくなる傾向)などで、冬以外の季節は症状が殆ど見られないのが特徴です。

冬季うつの原因

 冬季うつの原因は、日照時間の短さに関係すると言われています。光の刺激が減ることで、神経伝達物質であるセロトニンが減少し、メラトニンの分泌が乱れ、それにより脳の活動が低下すると考えられています。

 ドイツの長く暗い冬にうつ傾向になる人が多いのはやはり日照時間の要素が大きそうです。そして男性より女性の方が多いことからホルモンバランスとの関係もありそうです。

※まだ完全な解明には至っていません。

対策

 冬季うつの対策として食事療法や、光線療法など色々と方法がありますが、僕がおすすめするのは「座りっぱなしにならないこと」です。1日6時間以上座る傾向がある人の健康寿命は7年縮む、という研究結果があります。

 座りすぎは体の健康だけではなく、心にも悪影響を与えます。1日6時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べて、うつ病になる人が約3倍も多いことがわかっています。

  • 30分に1回は立ち上がる(正しい立ち姿勢を意識)
  • 電話中は、座らずに立って話す
  • できる限り車や電車を使わず、歩くようにする
  • エレベーターではなく、なるべく階段を利用する

などなど冬こそ座りすぎないような対策をして過ごしましょう。

 当たり前のことですが規則正しい食事、睡眠、運動が基礎となるのですが、当たり前のことをいつも当たり前にこなすことは難しいです。「座りすぎないように気をつける」ことなら誰でも意識一つで簡単にできると思いますので是非習慣づけていただき、気分良く冬を迎えましょう♪

また東洋医学は病気の手前の症状(未病)に対して効果を認められています。

心身の不調を抱えている方は一人で悩まずにご相談ください。


原島慈郎(はらしま・じろう)

日本で10年間鍼灸師として大学病院のペインクリニック科や脳神経内病院、 婦人科疾患専門の鍼灸治療院などで勤務。2022年にベルリンに移住。Heilpraktikerの勉強を始め、2025年にドイツ鍼灸師資格取得。施術の傍ら、デーヤックのニュースレターでコラム「鍼灸のすゝめ」執筆や講演活動を行う。

お問い合わせはこちらから:hari.jiro.t@gmail.com

原島慈郎