鍼灸のすゝめ

足の疲労をとるツボ

原島慈郎(はらしま・じろう)

人生100年時代といわれる今、多くの方は加齢によって下肢に様々な異常が出てきます。股関節の摩耗や骨粗鬆症、足の痛みや不具合によって歩く機会や歩数が減ると、歩けなくなる時期もどんどん早まってしまうのです💦

 歩くことを維持できれば自分の身の回りのことの多くは自分で行えるので、健康寿命を延ばすためにも歩くことがとても大切だと分かります。そんな大切なことだと分かっていても、人は疲れを感じると歩かなくなってしまうものです。

今回は足の疲労を感じる方に必見のツボをご紹介します。

 私事ですが、僕は中学生まで長野県の安曇野という北アルプスの山麓で育ちました。当時も今も登山を趣味で続けているのですが、登山中や足が疲れたときに使う「足三里(あしさんり)」というツボがあります。奥の細道で有名な俳人、松尾芭蕉も「足三里」にお灸をすえて足を健脚にし旅をしたそうです。

ツボの場所

 足のすねの骨から自分の指2本分外側で、膝小僧(膝のお皿)から指4本分下にあります。このツボにお灸を使っても良いですし、お持ちでない方は痛気持ち良い強さで10秒ほど押すだけでも効果があります!

その他の効能

 「足三里」は胃腸のツボなので、胃腸の症状全般に効果があります。特に「胃が動いていないな~」といった、食欲不振、お腹の膨満感、胃もたれなどに効果的です。また予防として胃腸を強くする効果もあります。

また、足の疲れをとったり、足のむくみにも効果があるだけでなく、身体全体の元気を出すツボとしても昔から使われているツボです。

 もう一つ僕自身が経験した事ですが、夜なかなか眠れなくて、どうしようと思った時に、何も思いつかなかったので「とりあえず足三里」と思ってお灸をやってみたら、すぐに寝る事ができました。足を温めて、さらに身体の滞りをとってくれるので良い睡眠に導いてくれたんだと思います。

 足三里は鍼灸、指圧といった東洋医学の世界では、最も有名なツボといっても過言ではなく、僕も頻繁に施術で使っていて効果も絶大です!

これからの季節、山登りや運動を再開される方もいると思います。ぜひ普段のセルフケアに取り入れてみて下さい。


原島慈郎(はらしま・じろう)

日本で10年間鍼灸師として大学病院のペインクリニック科や脳神経内病院、 婦人科疾患専門の鍼灸治療院などで勤務。2022年にベルリンに移住。Heilpraktikerの勉強を始め、2025年にドイツ鍼灸師資格取得。施術の傍ら、デーヤックのニュースレターでコラム「鍼灸のすゝめ」執筆や講演活動を行う。

お問い合わせはこちらから:hari.jiro.t@gmail.com

原島慈郎