Q&A:ドイツでの老後(準備)について

こちらでは、ドイツでの老後(準備)についてのQ&Aをご覧いただけます(随時更新中)。
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デーヤック友の会へのQ&A ドイツでの老後(準備)についてのQ&A

ドイツでの介護について

介護保険の給付はどのように決めればよいですか?

ドイツには、大きく分けて在宅介護と施設介護の二種類があります。在宅でできるだけ長い間介護を受けられるようにと、制度上は在宅介護が優先されます。在宅介護の場合、家族などによる介護に対する現金給付とプロの介護に対する現物給付、双方を組み合わせたコンビ給付から選択できます。自分の状況にはどのような介護が適しているかは、最寄りの介護相談所(ほとんどの州では Pflegestützpunktと呼ばれる)や介護保険に相談してみましょう。プライベートの介護保険に加入している人は、Compass Pflegeberatung が相談窓口となります。

介護に自己負担はありますか?

ドイツの介護保険は部分保険と言われ、必要な介護すべてを保険で賄うことはできません。在宅で訪問介護による現物給付を受けている場合は、給付範囲内でサービスを利用し、不足分は家族などによる介護で補うというのが一般です。在宅での介護が困難になった場合、あるいは、家族介護が望めない場合は、施設入居という選択肢があります。介護施設の自己負担額はドイツ連邦平均で一か月3,000ユーロと言われています。資産や十分な収入(年金など)がある場合は自己負担となりますが、足りない分は介護扶助という形で、行政からの支援を受けることができます。

日本人専用の介護施設はドイツにありますか?

いいえ。日本人・日系人高齢者の絶対数が少ないこと、日本語ができる介護専門職がほとんどいないなどといった理由から、これまで日本人専用の介護施設やグループホーム開設には至っていません。デーヤック友の会では微力ながら、在宅や施設で介護を受ける方の日本語での話し相手や日本食のお届けといったボランティア活動で、ドイツの介護制度を補うサポートをしています。また、WG(グループホーム)立ち上げを希望される場合は、専門の相談機関におつなげします。

介護保険について、詳しく知るにはどうすればいいですか?

デーヤック友の会発行の冊子「ドイツで送る老後」をお求めいただくか、オンラインやドイツ各地で開催される冊子講演会にご参加ください。お住いの地域の介護相談所 Pflegestützpunkt では、ご自分のケースに見合った相談を受けることができます。ベルリン州のPflegestützpunkte発行のインフォメーションシートはテーマごとに、わかりやすく給付や制度の説明がなされていて、おすすめです。

法的備えについて

「法的備え」とは何を指しますか?

年齢にかかわらず、事故や急な病気のため、あるいは認知症が進行して意思決定できなくなった場合に、配偶者などの家族が自動的に法的に本人の代理をすることはできません。そこで、委任状(Vorsorgevollmacht)を作成して、日々の請求書の支払い、各種申請手続きなど事務的なこと、医師とのやり取りなどをを家族や信頼できる人に委ねることができます。Vorsorge(備え)という名称の通り、このような委任状は、委任者が意思決定や自分のことができなくなった場合に使われるもので、数多くのフォームを無料でダウンロードすることができます。ドイツ連邦法務省による委任状は、ドイツ語/英語版などもあり、こちらからダウンロードできます。委任状以外には、終末期の医療に関する事前医療指示書(Patientenverfügung、下記参照)や後見人を事前に定めておく後見指示書(Betreuungsverfügung)も、備えのためです。

銀行の預金等に関しては、本人と受任者双方の立ち合いの下、銀行が用意する委任状の作成をしておかなければ、いざという時に、貯金を下ろすこともできないので、ご注意ください。

委任と後見は同じですか?

いいえ。委任状を受けた人(Bevollmächtigte/r 受任者)と後見人(Betreuer/in) の権限は同じようなものでも、委任状は信頼できる人に対して、自分が定めた範囲の法的代理を個人的に委託する一方的な意思表示であるのに対し、「(法定)後見」(Gesetzliche Betreuung)は後見裁判所が、その業務も人物も裁判所の決定によって定めるという点で、大きな違いがあります。また、委任状は自分で意思決定できる内に作成しておくものである反面、後見人は、自分のことができなくなってから、第三者、あるいは本人の申し立てを受けた裁判所が選任をするものです。後見人は選任後、裁判所の監督下にありますが、(委任状の場合)受任者を監督する人がいないという点でも、異なります。但し、各地にある後見協会(Betreuungsverein)などで受任者はサポートを受けることもできます。信頼できる家族や友人がいるかなど、それぞれの事情に応じ、備えを準備しておきましょう。

事前医療指示書は必要ですか?

ドイツでは原則、患者に自分の治療方針を決定する権利があり、医師は患者の同意なしに処置を行うことができません。しかし、脳の損傷や病気などにより、自分で意思決定や意思表示ができなくなった場合に備えて、希望する、あるいは希望しない医療的措置を書面にしたためておくのが「事前医療指示書」(Patientenverfügung)です。それぞれの価値観や人生観によっても影響される終末期の医療を、委任状を受けた家族・友人や後見人に委ねるのではなく、自分で定めておくことは、個人の自己決定権という観点から、有意義なことです。

他には何を準備すれば、よいでしょうか?

「委任状」というのは、誰が何に関して自分を代理するかを決めておくものですが、自分が意思決定できなくなった時に、どのような行動をしてもらうかの内容までを定めるものではありません。家族であれ、友人であれ、ましてや、第三者である後見人が選任された場合、自分にとって何が大事かを知ってもらうことは決して容易ではありません。そこで、どのような介護や終の棲家の希望、自分にとって何が大事かなど、できるだけ詳しく書いておくことをおすすめします。また、財産状況、加入している保険など一か所にまとめておくことも大事です。デーヤック友の会発行の「備えファイル」をお役に立ててください。

デーヤック友の会では委任状を受けてくれますか?

いいえ。デーヤックで委任状をお受けすることはできませんが、お住いの地区次第では、委任状を受ける方のサポート、後見の申し立て、ドイツ語しかできない後見人が選任された場合のコミュニケーションのお手伝いをさせていただきます。