本ページは内科医(ノイゲバウア馬場 内科クリニック/デュッセルドルフ)でJAMSNETドイツの代表である馬場恒春先生が、診療現場や講演会に寄せられた質問へご回答くださったものです。(2021年12月21日時点で有効な情報)
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新型コロナウイルスについて

➡ どちらも病気の原因になりますが、似ているようで大きな違いがあります。細菌には細胞構造があり栄養があれば増えていけるのに対し、ウイルスは中の遺伝子情報(DNAまたはRNA)とそれを包む殻だけからできていて自分で増えることはできません。
➡ 著名な日本のウイルス学者の山内教授は著書の中で「ウイルス粒子は体の外では活動しない単なる物体にみえるが、体内では生き物として振る舞っていると言えよう」と記しています。
➡他の生物の細胞の中に入り込み(感染)、その細胞の中の蛋白を合成する仕組みを利用して膨大な量のウイルスを複製します。
➡新型コロナウイルスはウイルス粒子の表面にあるスパイク(とげの部分)を使って人の細胞に付着、細胞内に入ります。
➡そうではありません。しかし一部のウイルスは動物を介して人に感染し、人の感染症として拡がることがあります。
➡ヘルペスウイルスは魚の感染が知られていますし、B型肝炎ウイルスは鳥から、麻しん(はしか)ウイルスは牛から人に拡がったとされています。最近の鳥インフルエンザウイルスも同様です。
➡感染した細胞内でウイルスが増殖する際に、遺伝子情報のコピーミスが生じ、変異ウイルスが生まれます。
➡より感染性の強い変異ウイルスがウイルス集団の大部分を占めると、新しい変異株として感染が拡がります。
➡今年(2021年)11月に南アフリカにて報告された変異株で、人への感染に関わるスパイク部分に30カ所以上の変異が分かっています。
➡人への感染力はデルタ株より強いとされています。重症化との関連はまだ明らかでありません。
➡1つのウイルスが流行すると他のウイルスの流行が抑えられる「ウイルス干渉」という現象の関与も考えられています。一見ウイ ルス同士で縄張り争いをしているような状況です。
➡新型インフルエンザが流行した年も、従来の季節性インフルエンザの感染が減る現象がみられました。
➡全ての変異株が問題ではありませんが、ウイルスが変異することによって従来より感染力が強まったり、重症化しやすくなることがあるからです。
➡変異株によっては既に用いられているワクチン効果が弱くなったり、一度感染してできた免疫が弱まり再感染する可能性も出てきます。

新型コロナの診断と症状について

➡ ドイツではPCR検査(鼻腔ぬぐい液、唾液、あるいは鼻腔ぬぐい液と咽頭ぬぐい液の混合)で陽性の場合にコロナ感染の診断がなされます。
➡ 抗原検査(シュネルテスト)で陽性の場合には、正確な診断のためにさらにPCR検査を受ける必要があります。
➡ 抗原テスト(シュネルテスト)が陰性の場合にはコロナに感染していない可能性が高いと判断されますが、感染初期においては抗原テストが陰性に出ることがあります(偽陰性といいます)。
➡ ドイツでは「PCR陽性者 = 感染者」として定義されています。
➡ 専門的になりますが、PCR検査が陽性の場合にはCT値という数値も合わせて報告されます。CT値は陽性判定が出るまでのPCRの増幅サイクル数を示すもので、CT値が低いほどウイルス量が多いことを示します。
➡ CT値が30以上の陽性の場合には(すなわちウイルス量が少ないことを示します)、他人への感染性は低いと考えられていますが「陽性 = 感染者」として扱われます。ただし検体が適切に採取されなかった場合にも高いCT値を示すこともあるため留意が必要です。
ドイツのロベルト・コッホ研究所の集計によると、感染者の約20%が無症状です。若年になるほど無症状の感染者が多いとされています。
➡ワクチン未接種の人、基礎疾患(呼吸器、心臓、腎臓、肝臓など)のある人、血管病変のある人(高齢者、糖尿病、肥満)、免疫の低下している人(ステロイドや免疫抑制剤で治療中)、喫煙者にて重症化が見られやすくなっています。
➡男女比でみると、20~79歳未満の男性が同年齢層の女性より死亡する割合が高くなっています。
最初に感染する鼻や口に部位的に近い、匂いの神経(嗅神経)や味覚の神経(舌神経と舌咽神経)に血液を送っている細い血管(栄養血管)まで炎症が拡がり、その結果として神経への血液の流れが遮られて嗅覚障害や味覚障害が生じます。
➡コロナウイルス感染では血栓傾向がみられますが、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳血管が詰まると脳梗塞を来します。
➡コロナ禍の状況下では、心筋梗塞や脳梗塞の初期症状がみられたにも関わらず医療機関を訪れるのを躊躇し、早期治療の開始が遅れることがあることも指摘されています。
コロナに感染後、四肢の動脈が血栓によって詰まり、末端への血流が途絶えるため、痛みを伴って紫色に変色し、組織が壊死に陥る例も報告されています。
コロナ感染症では快復後、特に症状を伴う感染後では、だるさ、疲れた感じ、不眠など様々な症状や、呼吸機能の低下、味覚・嗅覚障害などが続くことがあります。これを「ロング COVID」と呼んでいます。

ワクチンについて

➡現在ドイツで用いられているワクチン(ビオンテック、モデルナ、ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカの4種)は、いずれもコロナウイルス表面のスパイク(とげ)部分に対する抗体を作ることによって感染を抑えます。
➡コロナウイルスのスパイク(とげ)の部分が人間の細胞に付着して細胞内に入り込むため、ワクチンでできる抗体はこのスパイクの機能を抑えて感染と他細胞への拡大を防ぎます。
➡ある病気に対する新薬の効果は、その新薬と既存の薬を各々一定の数の患者に服用してもらい、両群の効果の差が統計的に有意か否かをもって母集団である患者全体にも有効であるかを統計的に推測します。
➡一方、ワクチンの効果は未感染の人にワクチンを与えた場合と与えない場合で、一定期間内のコロナ感染数(あるいは発症数)に両群で統計的な有意な差がみられたかをもって母集団である一般の人での予防効果を推測します。
➡母集団での効果の有無を統計的に推測するには信頼できるデータを得る必要があり、統計処理に必要な各群の被験者数は事前に定められます。これにより、被験者数が少ないがために差がみられた可能性や、逆に差がみられなかった可能性(統計的過誤といいます)を除外し、統計的に信頼できる結論を得ることができます。
➡ワクチンによって作られた抗体は数ヶ月で抗体価が低下してくるため、ワクチン効果も月日の経過とともに次第に減弱してきます。
➡さらにコロナウイルスは、より感染力の強い変異株が次々に出現してきているため、追加接種(ブースター)により抗体価を高く保つことがコロナ感染の予防に大切です。
➡イギリスでの検討によると、ワクチンの追加接種(ブースター)を行うことによりオミクロン変異株の感染による重症化を85%防げるとされています。
➡オミクロン変異株にはスパイク部分に30箇所もの変異(遺伝子配列の変化)がみられ、そのためワクチンによる感染防御は今までのウイルス株に対するより低い可能性も指摘されています。今後さらなる臨床データの解析を進めていくことになります。
➡米国疾病予防センター(CDC)は今までの臨床データを解析し、コロナワクチンを妊婦や授乳婦に接種しても安全であるという結論を発表しました。
➡ドイツの予防接種委員会(STIKO)も同様の結論を出していますが、妊婦に対しては時間的なゆとりがある場合には妊娠14週以降での接種を推奨しています。
➡ワクチンの副反応をリスク(不利益)、ワクチン接種で得られる感染予防、重症化抑制、死亡を減少させる効果をベネフィット(利益)とした場合、どちらの方が大きいかと考えるものです。
➡現在のコロナ禍においては個人にとっても社会全体にとってもワクチン接種による利益の方が遥かに大きいと考えられます。
頻度の順でみると、①注射部位の痛み(80%)、②体のだるさ(60%)、②頭痛(50%)、③筋肉痛・寒気(30%)、④関節痛(20%)、⑤発熱(10%)です。(カッコ内の数値は、おおよそのものです)
➡アストラゼネカ(とジョンソン&ジョンソン)のワクチンは、人により血小板機能への影響があることが報告されています。
➡臨床上の問題となった「血小板減少を伴った血栓症(TTS)」の発症頻度は、アストラゼネカワクチンの1回目接種で100万回接種当たり8.1例、2回目接種では100万回接種当たり2.3例の頻度と報告されています。
➡モデルナワクチン接種後に、稀に心筋炎・心膜炎を発症した例が報告されています。10代~20代の男性の2回目の接種後4日程度の間に多い傾向があります。
➡日本国内の10代男性での集計によると、心筋炎・心膜炎の頻度はモデルナのワクチン100万回接種当たり28.8例(ビオンテックのワクチン100万回接種当たり3.7例)となっています
ロベルト・コッホ研究所によると、コロナワクチン接種による不妊の心配はなく、不妊になるとの医学的根拠もありません。
➡今までの臨床データおよび動物実験、細胞実験の結果から、12~17歳の青少年での安全性が確かめられています。2021年12月上旬までにドイツの12~17歳の年齢層の約45%の接種が済んでおり、この年齢層での安全性を疑う報告はなされていません。
➡ワクチン量を少なくして接種される5~11歳の小児への安全性については、今までの各年齢層で臨床データなどから安全と判断された上で接種が始まります。但しまだ臨床上の集積データが限られているため、今後さらに安全性についての解析が続けられることになります。
現時点の医学的検証では起こりえないと考えられていますが、将来のことを100%絶対に云々と言い切ることは誰もできません。

ワクチン接種後のブレイクスルー感染

コロナワクチン接種後のコロナ感染が認められています。これをブレイクスルー感染(Impfdurchbruch)と呼んでいます。
原因として、
①月日の経過とともにワクチンの抗体価が下がること、
②より感染力の強いウイルス変異株の出現が挙げられます。
③として、ウイルス環境への暴露の機会の増加も指摘されています。
ワクチン接種をしたから大丈夫と思い込み、人混みの中で過ごしたり、AHAを守らずに過ごすことはブレイクスルー感染のリスクになります。
➡ドイツで接種されているコロナワクチン(現在4製剤)に関し、きちんとした評価の上で効果がなかったという論文は世界の一流の医学誌上は報告がありません。
➡一方、感染に対して約90%の有効率(例えばビオンテックワクチン)ということは、約10%の人には感染予防効果がみられなかったと解釈できます。しかしワクチン接種者の場合、感染した場合でも入院などの重症化、死亡のリスクが抑えられることが報告されています。

コロナ治療薬について

➡①ウイルスが細胞に入り込むのを抑える薬、②細胞内でのウイルス増殖を抑える薬、③ウイルスに対する過剰反応を抑える薬に大別されます。
➡①には抗体カクテル療法、②としてレムデシビル、モルヌビラピル(後述)、③にはステロイドのデキサメサゾンなどがあります。
➡例えば、②のレムデシビルでは肝機能や腎機能障害、ファビピラビルでは催奇形性、精液中への移行、①の中和抗体薬では稀にアナフィラキシーを含む過敏症が報告されています。そのため臨床上のリスク(不利益)/ ベネフィット(利益)を判断しての使用になります。
➡副作用ではありませんが、コロナ変異株に対する中和活性が低い中和抗体薬では、その臨床効果が期待できない可能性も指摘されています。
単純な構造のウイルス粒子(遺伝子と殻からなる)に対する抗ウイルス薬は、標的が人間も産生している蛋白だったり、人間の細胞と同じ機能に対するものだったりすると、私たちの細胞にもダメージを与える危険性が潜んでいるとも言えます。
➡軽症・中等症のコロナ感染を対象としたメルク社の経口抗ウイルス薬のモルヌピラビルは、ウイルスが増殖する際に一定の変異を促進し複製エラーを生じさせ増殖を抑える薬です。
➡短期投与での副作用が少なく、重症化リスクがある人に対して入院や死亡のリスクを30%低下させる効果が報告されています。長期的影響の有無の可能性については今後明らかになってきます。

2Gと快復者であれば大丈夫ですか

➡ワクチンの2回接種が済んでいるから、快復者だから大丈夫、絶対に感染はないという訳ではありません。
➡ワクチン接種後に作られた抗体(スパイクに対する)も、感染により体内にできた抗体(ウイルスに対する)も、時間的経過とともに減少し、予防効果が薄れることが知られています。そのため適時の追加接種(ブースター)が必要です。
➡2021年12月28日以降はワクチン接種者と快復者でも10名以上の私的集まりは禁じられています(14歳未満の子供は例外)。
➡前述のようにワクチン接種が済んでいる人や快復者でも、適時追加接種(ブースター)が行われていない場合にはブレイクスルー感染がみられることが分かってきました。そのため2Gプラスとして、直前のシュネルテストの陰性証明が必要となる場合もあります。
➡追加接種(ブースター)が済んでいれば(接種後2週間を待たずに)2Gプラスと同等に扱われる場合が少なくありません(利用施設ごとの直近の情報を得るようにしてください)。

用語の説明

➡地域の人口(住民)10万人当たりの新規の感染者数(PCR検査陽性者数)を示すものです。地域での感染の状態、増減を知ることができます。
➡感染者の病状や重症度を知ることはできません。以前は感染者が多ければ重症が多いことを示していましたが、ワクチン接種後のブレイクスルー感染では重症化が防げるため、必ずしも両者が一致しないことがあるからです。
➡入院率は7日間入院指数とも呼ばれます。地域の人口(住民)10万人当たりの新たにコロナ感染が原因で入院した数を示すものです。
➡重症患者数の状況と推移、病床ひっ迫の度合いを、よりよく把握するのに役立ちます。
➡入院率の値には、①病院からのその日の報告数(後日の追加登録は含まれない)と、②実際の新規入院者数(後日の追加登録を含む)があります。2つの値の間には登録完了までの2~3週間のギャップがあります。
➡①では入院者数を過小評価する可能性が、②では変化する感染状況に迅速に対応する上で問題があるため、現在のデータから将来の値をより的確に予測することのできるNowcast法(経済動向の推定の手法)を用いた値がロベルト・コッホ研究所より発表されています。

この冬の旅行では

➡ドイツの感染者数だけからみるとやや落ち着きの方向にあるようにみえますが、オミクロン変異株の感染者増加に伴い規制強化が導入されます。さらなる規制が設けられる可能性もあるため、最新情報を得るように心がけてください。 ➡コロナワクチン接種記録のある黄色のワクチン接種手帳(またはワクチン接種アプリへQRコードを登録したスマホ)と身分証明書(あるいはパスポート)を忘れないようにしてください。 ➡オランダのようにロックダウンが行われている国もあります。感染状況の変化に伴い突然に入国時の規制、施設の利用、ドイツ帰国時の対応などが変わることがありますので、出発直前の情報に注意してください。
➡渡航前のPCR検査(あるいは富士レビオ社製の抗原定量検査)による陰性証明が必要です。年末年始の休暇期間中は検査の対応が変わることもありますので留意してください。
➡日本入国時の抗原検査(あるいはPCR検査)とドイツからの入国の場合には決められた日数(現在は6日間)の検疫所の指定する宿泊施設での待機が義務付けられています。オミクロン変異株の国内搬入を防ぐため防疫体制が強化されています。
➡日本への入国許可は現在のところ例外を除き日本国籍保有者だけに限られています。ドイツに暮らす日本人の方で、ドイツ国籍を取得されている方は留意してください。
➡ドイツの警察によると、一部のワクチン接種反対の人や陰謀論を信じているQuerdenkerの過激化が懸念されています。
➡明らかにマスク着用義務のある場所にて、マスクを付けていない人に注意して逆に危害を受けるといった報告もなされています。

相談コーナー

➡ コロナワクチンの効果と変異株ウィルス

コロナワクチンの抗体価と効果は、時間の経過とともに次第に低下していきます。一方では、今年(2021年)3月頃から感染力がより強い変異株のコロナウィルスが拡がりはじめました。現在は感染力が2倍、入院リスクも死亡リスクも2倍というデルタ株が猛威を振るっています。そのため、2回のワクチン接種が済んでいても、仮に濃厚接触があれば感染してしまうこともあります。

➡ 3回目接種で感染と重症化のリスクを減らせます

ブースター接種と呼ばれる3回目のワクチン追加接種によって、感染と重症化を大幅に抑えられることが報告されています。3回目接種の機会があるならば、是非接種を受けることお勧めします。

➡ ウィルスの感染力が増しています

今までは感染しませんでしたが、昨年と比べ感染力も重症化する可能性も大きな変異株ウィルスが流行っています。外出が多いということは街中あるいは訪問先での感染の機会があるということですし、また仮にご自身が感染していた場合には街中あるいは訪問先で他の人に感染させる可能性もあるかもしれません。

➡感染初期は迅速テストで陰性のことも

迅速テストは体内である程度ウィルスが増殖してから陽性になるため、感染直後、既に他の人への感染性はあると考えられている時期に、迅速テストの結果では「陰性」となることが知られています。実際には感染しているにも関わらず陰性となるため、これを「偽陰性」と呼んでいます。

➡ ワクチン未接種の高齢者の感染は危険

ドイツ国内の集中治療室(ICU)に入院中の感染患者の90%以上はワクチン未接種者です。そして亡くなられた方の86%は70歳以上の患者です(9月29日現在)。ワクチン未接種のご高齢者が感染した場合には重症化する可能性が高いことが分かっています。

➡ワクチンに反対の理由もいろいろあります

ワクチンの受けるのをためらう理由として、① コロナ感染を驚異と感じていない、② 副反応が心配、③ ワクチンそのものに反対、④ 陰謀論を信じている、など様々です。どの理由にて反対なのかにより説明も異なってきます。

➡ワクチン未接種の高齢者の感染は命の危険

日本にお住まいのご家族ということですので、今年の夏の東京都の資料をみてみましょう。亡くなられた方のほぼ8割がワクチン未接種、7割が60歳以上でした。すなわち、日本もドイツも、ワクチン未接種の高齢者が感染すると命に関わってくるといえます。

➡コロナ感染による抗体獲得は限定的

コロナに感染しても抗体が十分にできなかったり、3ヶ月ほどで消失してしまうこともあります。そのためドイツではコロナに感染した人(快復者)にもワクチン接種を行っています。仮に、ワクチン未接種のお孫さんが感染した場合には、同居する祖父母の命に関わる状況を招いてしまいかねません。

➡ 後任の医師が引継ぐ

公的疾病保険を扱う医師の場合、全国を400近い区域に分けて区域ごとに公的保険にて診療できる開業専門医の定員が決められています。そのため一人の医師が定年を迎える際には後任の医師がその空席を埋め、カルテも引継ぐことになります。

➡別な医師を希望する場合

後任者ではなく別な医師をホームドクターとして希望する場合には、自分でそちらに行くか、場合によっては疾病名や処方薬の内容などを記載した紹介状を書いてもらって転医することになります。現在はコンピューターに保存される電子カルテを用いているため、昔のような綴じた紙のカルテは余り使われていません。

➡認知症テスト

本人の同意なしにホームドクターでの認知症テストを受けることはできません。認知症の状態が明らかにもかかわらずテストを受けられない場合には、裁判所に申請して専門医に診断を委ねることもできます。認知障害と疑われるような兆候や症状は、甲状腺機能低下、パーキンソン病、うつ病(気分障害の一種)など他の疾病と関連していることもありますので、その有無を見てもらうことは可能かもしれません。お母様のホームドクターに相談してみるとよいでしょう。