2021年10月30日

「孤独」とは

今回は「孤独」についてのお話です。
広辞苑には、「孤独」というのは、「仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであること。思う ことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいこと、またそのさま(後 略)」とあります。これに対し、似たような言葉である「孤立」は「一人だけ他から離れ て、つながりや助けのないこと」とあります。物理的地理的に他者から離れている状況や状 態を孤立、心を通わせられる人がいないと感じる心の状態を孤独と呼ぶわけです。孤独とい うのはとても主観的な感覚でして、大勢の人に囲まれていて物理的に孤立していない状態で あっても感じることがありますし、その反面、ふだんは独り暮らしだけれども心の支えとな る友人や家族が遠方にいるから孤独を感じないという人もいます。自ら他人との関わり合い を制限する「孤独を愛する」人もいます。自分の外見や健康状態、心の在り方や考え方など が周りのみんなのそれとは違うと感じるとき、孤独を覚えることもあります。いずれにして も、他者とつながりたいというニーズがあるのに関係から切断されているような時の気持ち のことを、孤独感と呼ぶようです。

孤独を解消するには

私たちは一人一つずつ身体を持っており、身体を持つことで私たちは他者とは確実に切り離された存在であるにも関わらず、身体を(感覚器、臓器、脳の機能などの体と心の働き全てをここでは指します)通して他者とつながることができます。つまり、私たちは身体を介して自分の外にある世界とつながり、逆に世界とのつながりを心身で感じることではじめて、 他者とは異なる存在としての「自分」を知る、自覚することができる存在なのです。ですか ら他者とつながっている、つながっていないという感じは、皆に共通する感覚なのですが、 その反面、つながりのニーズのうち、どれが満たされないと孤独を感じるのかという点には 個人差があり、すべての人に共通する孤独感の解消方法というものがあるわけではないのです。

逆に言いますと、自分が持つつながりへのニーズ、自分は他人と何を分かち合い心を通 わせたいのかについて知ることが、孤独感を解消する手掛かりになるわけですね。孤独感を感じた時、まずは自分の身体を他者とのつながりの場にとりあえずおいてみるとい う方法を試すのはひとつの手です。つまり、対人接触のちょっとした機会をみずから作って みるわけです。例えば、自宅の道路に面している窓を開けて、通行人に笑いかけ挨拶してみる(さわやかに挨拶をされて気を悪くする人はまずいません!)。散歩に出かけて、乳母車 を連れたお母さんを見かけたら赤ちゃんに笑いかけたり、犬を連れている人がいたら犬に話 しかけたりする。たとえ短い時間であっても、心を開いて自発的に他者とつながりあうことができると、人さみしさは和らぐものです。
タレントの草薙剛さんが10 月 3日の朝日新聞のインタビュー記事でこんなことを述べてい たのを読んで目から鱗が落ちる思いがしました:「小さなことでも挑戦し続けることが大事 だと思うんですよね。いつかは歳取っちゃうんだから、早めにやった方がいい(中途省略) いくつになっても、今が一番若いんだから」。これまで自分でも知らなかったような、自分 の居場所にしてみたいところ、自分が生き生きできるところを、新たに自分で発見してみま せんか。自分が楽しめる事、好きなこと、大事にしていることは何でしょう? 一度でいい からトライしてみたいと思ったことはありませんか? 例えば、コーラスとか、手芸クラブ とか、習字教室とか、ボランティア、旅行ツアー参加とか、外国語を習うとか。その場で活 躍できなくても話を積極的にしなくてもいいのです、まずはそこへ行って身を置くことです。同じことに興味を持っている人々、仲間と同じ場所にいる、ということを感じることが できるでしょう。何を始めるにも今が一番若い、素敵な考え方ですね。
外に出るのが億劫に感じるときは、親しい人のことをまず思い浮かべ、その人と(あるいは 世界の存在全てが)自分とがおなじ空でつながっている、同じ月を見ていると想像してみることもよいでしょう。そこにいない人が、同じ空や月を見ていることで自分とつながってい る、という感覚は、とても落ち着くものです。
親しい人と散歩しながら、または電話やビデオ通話で、たわいのないおしゃべりをすること も、心満たされる経験ですね。「たわいのないおしゃべり」ができる相手というのは、「こんなこと言ったらなんて思われるかしら」などと恐れることなく、自分の気持ちの照り降り のまま、言いっぱなし聞きっぱなしにできる相手のことです。民間のサポート機関(例えば Silbernetzの日本語おしゃべりサービスなど)を上手に利用してもよいですね。

日本というつながり

とかく外国で暮らしていると、何かのきっかけで自分を根無し草だとか異邦人だと感じた り、日本を恋しく感じることがあります。そんな時は、ドイツに住む自分の、日本人である 部分のさまざまな欲求を満たし、自分のルーツ、日本文化とつながっているという感覚を取 り戻しましょう。気の合う友人や日本の家族、友人との交流、インターネットなどを上手に 利用して日本のメディア(お笑い番組や落語を観て笑うというのは精神衛生に良し!)に触 れたり、日本食を楽しむ、(現在はコロナ禍の為少々困難ですが)帰省をすることも、そこに含まれます。自分自身そして自分のルーツと心がしっかりつながった状態だと、生活の場 としてみずから選んだ場所(例えば皆さんですとドイツですね)ともよりよくつながり、そ の文化ともよりひらけた関係を結ぶことができるようです。生まれ育った日本でよりもドイ ツで暮らしている時間の方が長くなった方ですと、「私のふるさとは日本、私のウチはドイ ツのここ」という風に、自分の居場所とのつながりが別々に感じられるかもしれませんね。

冬期うつ予防のエクササイズ

これから長い冬の季節に入ります。日が短くなるにつれ気持ちまでも暗い方に引っ張られそ うと不安に思う方もいるかもしれません。脳の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、オ キシトシン、エンドルフィン等)のバランスを整え、体内時計を調整し、気持ちを安定させ て冬季うつの予防にもなるエクササイズを最後に一つ、ご紹介しておきます。数分でできま すのでおためしください:できれば午前中、ひなたに出て、太陽の光がしっかり顔にあたる ようにします。この時、箸を一本横向きにくわえていると想像して口角を上げましょう。そ のままで、直接太陽を見ないように気をつけながら陽の光を目からたっぷりと取り込みます (目は閉じておいて構いません)。次に、心の中で8回数えながら口から(口をすぼめても よい)息を吐きます。4つ数えながら鼻からゆっくりと息を吸います。息を軽く止め7つ数 え、再び8 回数えながら口から息を吐きます。これを3,4回繰り返して終了です。

© 2021 Nao Honekamp-Yamamoto
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